昭和時代の洋画劇場

以前、ほかのところでブログをやっていたときにも、同じような主題で書いたことがあります。

最近では、こういうトピックは、かなりありふれたものになってきましたが、自身の体験を踏まえて、一席(今回、シリアスな話はありません。)。

昭和時代、少年期を送った私は、家庭環境その他、いろいろと問題を抱えておりまして、成り行きのように、昼間、学校に行かないでテレビを見たいたりすることが、ままありました。

で、一人でこもった部屋で、「昼の洋画劇場」的なものを見てしまうわけです。

なにしろ、そこにチャンネルを合わせておけば、CMの時間以外は、映画が終わるまで、一時間ちょっとの時間を「やり過ごす」ことができる。

そのうえ、まれに、息を飲むくらいに、引き込まれる傑作に出会ったりもする(まれ、でしたが)。

昼間、となると、当時だと、だいたい東京12チャンネル、テレビ東京でした。

なにしろ、こちらはガキですから、映画の世界の危険性などは、まったく認識していないわけです。単なるエンタメ、くらいにしか、考えていない。

大の大人が、「お仕事」で制作するものは、すべて、世のため人のためになるか、そうでなくとも、世のため人のためにしよう、と努力したものなのだ、と思い込んでいるわけですねえ…

じつに、恵まれた育ちをしていました。

ところが、そんな少年の気持ちを裏切る、どころか、身も心もボロボロにしてしまうような、「なんじゃ、こりゃあ!」(松田優作のセリフより)という代物が、平然と放映されていたのです。

まるで、「三分間クッキング」とか、「〇時のあなた」みたいに、自然な形で放映される「悪魔のいけにえ」。

「脱出」。

やべえだろ、おい。

…蛇足ながら、軽く、ハイライトシーンを述べてみますが、前者は、テキサスの片田舎で、人肉を加工している変態一家が、たまたまそこを通りがかった若者数名を、チェーンソーやハンマーなどで、虐殺するという、ギネス認定「世界でもっとも恐ろしい映画」です。

後者は、バカンスにカヌーで川下りしよう、と田舎に出た、仲良しのエリートビジネスマン数名が、その土地に住む、粗野なレッドネック白人たちに、レイプされたり(♂同士)して、殺し合うことになる、というお話。

ほかにも、女の奪い合いで、かねてから敵対し合っていた、とってもローカルなところで暮らす「お隣さん」同士が、略奪・暴行・強姦などの果て、ぶち殺し合ってしまう、という、ひょっとしたら「ロミオとジュリエット」とかを意識しているのかもしれない、「ロリ・マドンナ戦争」。

こういうものが、真昼間に今でいう地上波で放映されているんですねえ……(嘆息)

「悪魔のいけにえ」に出くわしたときは、知らない間に、汗みずくになって、壁に貼りついていました。昼日中、音量を下げていたにせよ、チェーンソーの爆音と女性の金切り声の二重奏にさらされた日には、トラウマ負わないほうが困りものです。

おっさんが、おっさんを後ろから「ピーと鳴け!」とか言いながら、犯すシーン(「脱出」)なども、全身の力が失せました。

…あの時代、ふつうに女性のバストが放映されていたし、ドラマなどでも、過激な濡れ場や裸、修羅場が当たり前でもありましたが、それにしても、度を越したものがありました。

で、良い子のこちら側としては、同じダメージを回避するために、さすがに学習し、「怪しい」と思しき作品は、「はじめから見ない」という手段を駆使するようになります。

作品内容をスマホで調べる、なんてことができない頃です。したがって、「勘」に頼ることになりますが、「危険物」はやはり、「タイトル」に表れてきたものでした。

「いけにえ」とか、「悪魔」、あるいは、子供にはあまり馴染みのない、カタカナ表記の横文字(「オーメン」、とか、「エクソシスト」みたいな、ね)が、やはり、危ない。

ポイントは、そのカタカナが、「まさに英語」的なものではなく、もうちょっと、子供の頭でも、エキゾチックな感じのものが、危なかったりしましたね(後に、そういう感じの横文字が、ヘビメタ系のミュージシャンたちに、こよなく愛好されていることを知りましたわ)。

…これで、防衛できたのか?

答えは、否、でした。

否、否。何度でもいう、否…!

……凶悪なテレビCM、というものが、あったのでした……!

地上波で、流すんですよ。

「人食い大統領アミン」(いいのか、このタイトル??)。

「食人族」(……)。

あるいは、「特番」で、「この夏のおすすめ映画特集!」とかいうから、ついつい見たら、面白そうな映画や、つまらなそうな映画、それらに交じって、若きフィービー・ケイツが、あられもない裸体をさらしたり、ナタキンが(ええわ、そのあたりは、切ないから)、の後とかに、「サンゲリア」(爆)。

ゾンビに引きずられる美女が、片目を失うシーンを…流すなよ、んなもん。

いやはや、キリがなくなってきたので、このあたりにします。

お元気で…! <m(__)m>